形見分けとは
形見分けとは、故人が生前、身近に置いて使っていたり大事にしていた品物を、近親者や友人などと分け合い、その品物を通して故人への思いを大切に守ることです。
本来は、肌にまとっていたものには魂が宿るという日本人古来の思想の元、死者の魂が残された衣類だけを近親者で分け合う習慣でした。
現代ほど豊かではなかった昔、衣類はそう簡単に手に入るものではなかったため、貴重な財産として形見分けがなされていたようです。
地方によって「そでわけ」「すそわけ」と呼ぶのは、その名残だと思われます。
現代では、衣類に限らずコレクション、時計、貴金属、バッグ、家具、小物など、故人にゆかりのある品物を分け合うことで、いつまでも故人を偲ぶことを目的としています。
ただし、高価すぎるものはたとえ形見分けであっても贈与税の対象となってしまうこともあります。現金はもちろん、価値のある貴金属などは受け取る側にとっても負担となってしまうケースがあります。
では、いくらなら相続財産になるのか?その当時高い金額を払って購入した宝石であっても、市場で売買となると、よほどの値打ち物でもない限り、思いのほか値段が付かないものです。
「生活用動産の譲渡で、貴金属や宝石などの金額が30万円以下のもの」は譲渡所得にならない、と所得税の譲渡所得では規定しています。
ある税理士さんの私見になりますが、「形見と相続財産の区別は法律で決められていないので、判断する場合の参考にできるのではないか」とのことです。
故人が愛用した品々に触れることで、その人に思いを馳せることができる形見分けですが、その方法によっては相手に不快な思いをさせてしまうこともあります。形見分けを行う際には、基本的な知識を正しく理解しておく必要があります。