終活とは「覚悟」〜金子哲雄さん・樹木希林さんの終活から〜
「終活」という言葉が社会的に知られるようになった経緯を語るうえで、流通ジャーナリストの金子哲雄さんの存在は欠かせません。
2012年10月2日、肺カルチノイドにより享年41歳という若さで亡くなった金子さんは、亡くなる前からご自身の葬儀やお墓のこと等、細かい部分に至るまで段取りをしていました。
そのきっかけは余命宣告。
当初絶望の中で苦しみますが、やがて死を覚悟し「人生の始末をどうつけるか」に向き合い、ご自身が亡くなった後に残される最愛の奥様のことを考えての行動でした。
その行動とは、エンディングノートを書き、専門家に相談しながら葬儀の会場や当日の進行、参列者へのお礼の手紙や仕出し料理のこと、さらには葬儀の費用を奥様の口座に移しておく、お墓や戒名の手続きを済ませておく等、こと細かな準備がされており、当時「完璧な終活」「見事な終活」と言われました。
私たち人間は、どうしても「死ぬのがこわい」「死にたくない」と思ってしまい、自分の【死】を直視することを嫌います。
年をとればとるほど自分の【死】を直視しなくてはならないのに、心は自分の【死】を受け入れられず、葛藤が生じます。
しかし、本当は自分の【死】を直視して受け入れたほうが、ずっと楽に生きられるのです。
俳優の樹木希林さんが全身がんを宣告された時、「死ぬまでの準備ができる」とおっしゃっていたのはとても印象的でした。
「人間誰しも死ぬ」
その当たり前の事実を恐れるのではなく、受け入れて生前からいろいろ死後の対策をとっておく方が安心して生きられる、ということを証明されたと感じました。
死への覚悟。
それが、残された者に対しても自分自身に対しても安心の最期となる準備に繋がるのではないでしょうか。