生前整理アドバイザーとは?気になる仕事内容や資格の取得方法を紹介
人生の終わりを意識する歳を迎え、遺される家族に面倒をかけないように、あらかじめ身の回りを整理しておきたいと考える方が数多くいます。
そんな生前整理を進めていくうえで、頼りになるのが生前整理アドバイザーです。
生前整理のプロフェッショナルとして終活に励む方々の手助けをします。
今回は、生前整理アドバイザーの仕事内容や資格取得の方法について詳しく解説。興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.そもそも【生前整理】とは?
「生前整理」という言葉を聞いたことがないという方もいるでしょう。
まず、その意味について解説します。
1-1.生きている間に身の周りを整理すること
生前整理とは、「遺された家族に面倒をかけないように、自分自身が生きている間に身の周りを整理すること」です。
整理の対象に個人差はありますが、お金や家、家財や思い出の品などがあげられます。
高齢化、核家族化が進む日本社会において、家族同士の意思疎通が取れておらず、相続などの場面で揉めたり、処分に手間がかかったりするケースが増えています。
そういった問題を解決するためにも、生前整理は大切です。
生前整理の作業をしっかりと取り組んでおくことで、これらの問題に対して未然に対処することができます。遺産や遺品の整理、相続などはもちろんのこと、家族に知られたくない秘密を処分する意味合いもあるのです。
また、生前整理は、遺言書やエンディングノートなどを作成する絶好のタイミングでもあります。
家族に財産分与の配分を伝えるだけではありません。忘れてはいけない項目に、お墓や葬儀のことなどがあります。自分が入りたいお墓を記載したり、葬儀に呼んで欲しい人のリストを記載しておくことで残した家族の余計な手間が省けるのです。
他にも、必要書類の場所などを記載してください。
1-2.生前整理と遺品整理の違い
「遺品整理」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
生前整理と似ている、もしくは同じなのではと感じる方もいるかもしれませんが、この2つには明確な違いがあります。
生前整理は、「遺す側、つまり先に最期を迎えるであろう本人が自分自身で身の周りの片付けを行うこと」。
一方、遺品整理とは、「遺された側、つまり遺族が亡くなった人のお金やモノを整理すること」です。
似ている言葉ですが、意味合いはまったく異なります。
明確な違いは、生きているうちに整理するか否か。生前整理がしっかりと完了されていれば、遺品整理の手間が省け、遺族に迷惑をかけることもなくなります。
思い出のアルバムを整理するのと変わりません。「必要なもの」「不必要なもの」と分けるだけでも効果はあります。
そして、自分の人生を振り返る作業は、懐かしい気持ちになったり前向きになれたりすることができるのです。整理して出てきた思い出の品を手に、家族で思い出話に華を咲かせるのも生前整理をするメリットといえます。
2.生前整理アドバイザーの仕事内容
生前整理アドバイザーという資格は、「生前整理のサポートをする」ためのものです。高齢化、核家族化が進む現代において、生前整理アドバイザーはとても注目されています。
しかし、この資格だけで仕事ができるというケースはあまり多くありません。ただ、遺品整理業者、保険、介護、葬儀などの業界で働く人々が取得していると非常に役にたつでしょう。
次のステップとして、生前整理認定作業士や生前整理診断士も存在します。生前整理をお考えの方の家に出向き、一緒に生前整理を行う職業です。
それだけで生計を立てるのは簡単なことではありませんが、中には生前整理のプロフェッショナルとして生計を立てる方もいます。
3.生前整理アドバイザーの資格の取得方法
生前整理アドバイザーになるためには、「一般社団法人生前整理普及協会」が開く講座を受講する必要があります。試験に合格すれば、晴れて資格を取得できるのです。
資格には以下のような順で段階があります。
- 生前整理アドバイザー2級
- 生前整理アドバイザー準1級
- 生前整理アドバイザー1級
- 2級認定指導員
- 準1級認定指導員
飛び級はできず、段階的に取得していかなければなりません。
ひとつずつしっかり受講し、基礎的な知識も身につけましょう。
以下では、各資格の講座内容などの情報をまとめましたので、参考にしてみてください。
3-1.生前整理アドバイザー2級講座
生前整理アドバイザー2級講座では、生前整理の基礎を学ぶことができます。
講義時間は300分で、思い出の品の整理法や実践法に身につけることが目標です。
資格認定講座の最後には認定テストがあり、それに合格することで晴れて生前整理アドバイザー2級を取得することができます。
スカイプ講座にも対応しているため、外出が困難な場合でも通信環境があれば受講可能です。
受講料は税込で21,060円。
3-2.生前整理アドバイザー準1級
生前整理アドバイザー2級の認定者が条件である生前整理アドバイザー準1級は、より理解を深めることができる中級講座です。
「相手を傷つけずに、自然と生前整理をすすめる方法」など、身近な人の生前整理に役立てることができるでしょう。実践的な内容です。
こちらもスカイプ講座に対応し、受講料は認定テスト代や認定料を含めて26,784円(税込)です。
3-3.生前整理アドバイザー1級
生前整理アドバイザー1級の講座は、少人数制です。準1級認定者のみに受講資格があります。
1級講座は、遺言書や写真のスクラップブッキングなどについて詳しく学べる上級講座です。実例とともにスクラップブッキングの解説してくれるので、自然と学ぶことができるでしょう。
認定テストに合格すれば、1級の資格を取得できます。
通信講座には対応していません。時間がなくとも講座に出向く必要があるので、注意してください。
受講料は全部で37,584円(税込)です。
3-4.2級認定指導員
「生前整理アドバイザー2級の取得を目指す受講生に、生前整理を指導することができる」資格です。
2級認定指導員講座は、生前整理アドバイザー1級の認定者のみ受講することができます。
生前整理の普及に努めたいという方は、受講をおすすめします。これから重宝される資格のひとつかもしれません。
指導員講座は300分、後日55分間の認定テストがあります。
今までは当日の試験でしたが、こちらの認定テストは後日です。より専門的な知識が問われるので、予習は必須でしょう。
受講料は、全部で65,880円(税込)です。
3-5.準1級認定指導員
準1級認定指導員は「生前整理アドバイザー準1級の取得を目指す受講生に、生前整理を指導することができる」資格で、2級認定指導員認定者のみ受講可能。
300分の実践的な講義で知識の伝え方を学んだ後、後日実施される認定テストに合格することで準1級認定指導員になることができます。
2級認定指導員同様、より専門的な知識が問われるので、予習は必須でしょう。
テキスト代や認定料などを含め、97,200円(税込)が必要です。
3-6.生前整理技能士
生前整理技能士とは、実際に生前整理をしようとする方々の元へ出向き、生前整理のサポートをするために必要な資格です。1日の研修を通して、在宅作業でのマナーや心得を学ぶことができます。
2級認定者以上の方が受講可能。具体的な業務に関する知識と能力が習得可能で、受講料は税込で86,400円(税込)です。
4.生前整理アドバイザーはますます必要とされる職業
生前整理アドバイザーをはじめ、生前整理に関する専門知識を持つ人々の需要はこれから拡大していくと考えられています。
2017年4月、国立社会保障・人口問題研究所によって公開された「日本の将来推計人口」によって、2036年には65歳以上の高齢者の割合が33.3%、つまり3人に1人が高齢者になるということが判明しました。
今は珍しい生前整理ですが、これから当たり前の存在になるかもしれません。
「自分が亡くなった後に子供たちに迷惑をかけたくない」「元気なうちに面倒事を済ませてスッキリしたい」と考える高齢者も増え、ますます生前整理の需要は増していくでしょう。これからの時代に必要とされる職業といっても過言ではありません。
生前整理と聞くと、マイナスのイメージをもつ方もいるでしょうが、生前整理は悲しいものではなく、前向きになれるものでもあるのです。生前整理アドバイザーはそういったマイナスの固定概念を覆す役割も担っています。依頼者を前向きにサポートしてあげましょう。
そのうえ、依頼者の人生に触れながら生前整理をサポートできる仕事はきっとやりがいを感じられるはずです。生前整理アドバイザーは人の役にたつ社会貢献度の非常に高い職業といえます。
参考URL:http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp
生前整理アドバイザーは終活で困ったときの頼りになる存在
負担の大きい生前整理の作業をサポートしてくれる「生前整理アドバイザー」。終活の際は、知恵を貸してもらうのがいいでしょう。
これからの高齢者社会において、いっそう需要は増し、必要とされる職業だといえます。取得しておいて損のない資格でしょう。
生前整理アドバイザーに強い興味があるという方は、まず生前整理普及協会が主催する「片づけからはじめる生前整理はじめの一歩」という講座を受講することをおすすめします。資格は取得できませんが、短時間で生前整理の理解を深めることができるでしょう。気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
- 生前整理とは、自分が生きている間に身の周りを整理すること
- 生前整理アドバイザーは生前整理のサポートをするための資格
- 資格取得には、認定講座を受講する必要がある
- 生前整理アドバイザーは社会貢献度も高い
- 生前整理アドバイザーは今後需要が増していくと予想される