老々介護をされていた長屋での熱中症
今年は土用の丑の日が7月23日と8月4日の2回あるそうです。土用は春夏秋冬と年4回あるそうですが、夏の土用は丑の日に「う」の付くものを食べるとよいとされています。栄養価の高いうなぎは、まさに夏の土用にぴったりの食べ物ですね。
今回の現場は古くからある昭和レトロな雰囲気の長屋でした。在宅で高齢のご主人の介護をされていたのは、同じく高齢の奥様で、いわゆる老老介護のご世帯でした。
この長屋の皆さんは古くからお住まいの方ばかりで、コミュニケーションがしっかり取れていて、お互い行き来しながら暮らされていました。
夏のある日、異変を感じたご近所さんから息子様に連絡があり、中で奥様が亡くなっているのが発見されました。エアコンはありましたが、つけていなかったようで、熱中症による死亡だったそうです。突然のことで憔悴しきった息子様は、「もっと熱中症のことなど、気に掛けてやればよかった」と話しておられました。
ご主人様はショートステイで介護施設に1週間ほど滞在していて、その間に起きてしまった悲劇でした。奥様は自分一人ではエアコンをつけるのはもったいないと節約していたのではないか、とのことでした。
残念な出来事ではありましたが「周囲の人が気にかけてくれていた」からこその早期発見でした。暑い日が続いていた時期でしたが、特殊清掃が必要な状況にならずにすんだことがせめてもの救いでした。
お父様は介護施設に入所されることになり、すべての家財道具を処分することになりました。長屋の小さい部屋の大部分を占めていた介護ベッドをレンタル業者に返却すると、ご夫妻の暮らしを支えていた家財道具が見えてきました。それらを丁寧に分別しながら袋詰めしていきました。息子様も「この家にはとても世話になったから」と掃除を手伝ってくださいました。