遺品整理人ブログ

遺品整理の仕事現場のお話や遺品整理業者が日々感じていることなどをご紹介します。

4つのメガネ

日中の暑さは続いていますが、朝夕は少し涼しい風が吹き、虫の音が聞かれるようになりました。暑さが弱まったあとに体調を崩す方も多いそうなので、みなさんくれぐれもお気をつけください。

遺品整理をしていると、その部屋に残された品物や、それらの配置によって、亡くなられた方がどういう暮らしをされていたのかが、垣間見えることがあります。先日、羽曳野市のアパートで一人暮らしをされていた高齢女性の部屋の遺品整理に伺いました。

洋服ダンスを整理していたスタッフが「あれ?こんなところにメガネが…」と、服の間からメガネを発見したのです。その後も「またメガネがありました!」と、靴箱の上、洗濯用洗剤の並んでいた棚からもメガネが見つかりました。全部で4つ発見されたメガネのうち、ひとつはテレビの前にあったので、いつも使っておられたのはこれだとわかりました。

他にも、洗面所には入れ歯が3つ、新品の歯ブラシがあちこちの引き出しから6本も出てきました。見つからなかったから次々と買ったのか、なくならないよう買い置きをするタイプの方だったのか…。
この部屋に住んでおられた方は、毎日どんな暮らしをされていたのでしょう。「メガネがないわ。困ったわ」と言いながら、新しいメガネを何度も作り直しておられたのか、と想像が膨らんでしまいました。一人暮らしであっても最後まで自立して暮らしておられたのだと信じたいものです。4つ並んだメガネと3つの入れ歯を見て、高齢者になってから一人で暮らすことの大変さを思い知りました。

遺品の多くは廃棄処分されます。しかし、他人には価値のないものでも、ひとつひとつの品物は亡くなられた方の生活を支えてきたもので、単なるゴミではありません。そう思うとこれからも一つ一つ丁寧に扱っていかなければならないと再確認しました。

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