遺品整理人ブログ

遺品整理の仕事現場のお話や遺品整理業者が日々感じていることなどをご紹介します。

缶の中の写真とメモ

紫陽花の季節となりました。コロナで外出が難しかった2年が過ぎ、花を求めて出かける方も多いのではないでしょうか。あるお寺で花手水(はなちょうず)というものがあるとテレビで紹介されていました。手や口をすすぐ手水に水を張って、紫陽花の花を短く切って彩りよく浮かべているのです。コロナで手水が使えないことを逆手にとった素敵なアイデアだと思いました。

今回の遺品整理の現場は、大阪市旭区の古びたアパートの一室でした。玄関から一目で見渡せる広さの部屋の中には、買い取りできそうな品物は見当たらず、遺品は全て処分することになりました。
ご依頼主様は故人の息子様で、長年音信不通だったそうです。お母様が亡くなられたことで市役所から連絡があり、リメンバーズにご依頼くださいました。
「母は30年以上前に家を出て行きました。なのに身内は私だけなので、遺品整理をしてアパートを明け渡さなければならないんです」と少し不満そうでした。
それでも息子様は作業当日、仕事を休んで立ち会ってくださいました。遺品を一つ一つ確認しながら搬出しやすいよう袋にまとめていると、押入れの天袋にクッキーの缶があるのを見つけました。こうした場所にあるお菓子の缶などは、貴重品が入っていることが多いのです。長く遺品整理をしていると、ある種の勘が働くようになり、貴重品の場所や仕舞い方のパターンが分かってきます。
缶の中身をそっと取り出してみると、折りたたんだメモと古い写真の束がありました。私は缶ごと息子様に渡しました。缶のふたを開けた息子様は、すぐにふたを閉めて、そそくさと鞄にしまわれました。
息子様は何も仰らず、私も黙々と遺品の片付けを続けました。大きな家財道具などはなく、静かに作業は終わりました。
後日、息子様からお手紙をいただきました。「よくあの缶を見つけてくれました。私が小さい頃の写真や、家族写真が入っていました。缶がなければ、ずっと母のことを誤解したままだったと思います。ありがとうございました。」とありました。
私たちの仕事はお部屋の片付けや家財道具の処分が中心ですが、小さな缶ひとつでご依頼主様の人生に係わることもあるのだと、ますます身を引き締めた出来事でした。

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