父が暮らした部屋を片付けるために
毎年のことですが、12月に入ると街もにぎやかに飾り付けされ、クリスマスやお正月の買い物に出かける方も増えてきます。「あっという間の1年だった。今年は何をしていたかな…?」という気持ちになってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は、長年お父様とふたり暮らしをされてきた娘様からの遺品整理のご依頼でした。お父様は半年ほど前にご病気で亡くなられたのですが、お仕事が忙しい娘様は遺品整理に時間を割くことができず、気になりながらもそのまま手つかずにしていたそうです。
そんな時にインターネットで当社のことをお知りになり、ご依頼くださいました。長く一緒に生活をしていたとはいえ、外出が嫌いで自分の部屋にこもりがちだったお父様と、お仕事が忙しい娘様とは生活のリズムがちがっていて、家の中でも顔をあわせることが少なかったそうです。
お父様の遺品は、6畳和室に布団を敷くスペースだけ残して、ところ狭しと積み上げられていました。娘様はめったにそのお部屋に入ることもなく、所有物についてはご存じないということでしたので、貴重品の捜索をしながらの作業となりました。
写真や手紙など思い出の品や現金などの貴重品のほか、購入したままで未使用の靴なども見つかりました。趣味の多い方だったようで、鉄道模型や囲碁・将棋の雑誌などもたくさんありました。新品の靴は処分せず娘様にお返ししました。
あらかたの荷物を搬出した後を見て、娘様は「この部屋ってこんなに広かったんですね」と感慨深げでした。お父様の遺愛の品を整理している私たちの様子を、娘様はずっと側にいて見守っておられました。仲が良かったとはいえない親子でも、いろいろ想うことがおありだったのでしょうか。整理後のガランとしたお部屋を見て、なくしたものの大きさに気付き、寂しさがこみ上げてきておられるようでした。
遺品整理はご家族の心の整理でもあります。私たちリメンバーズではプロとして真心を込めて整理をさせていただきます。娘様からは最後に「ありがとうございました」と感謝の言葉をいただくことができ、私たちもホッと胸を撫で下ろし、ほっこりした気分で現場を後にすることができました。