遺品整理人ブログ

遺品整理の仕事現場のお話や遺品整理業者が日々感じていることなどをご紹介します。

壁に残されたカレンダー

例年のことですが、何となく気ぜわしい年末がやってきました。スーパーや商店街は買い物客であふれて活気づいているようですが、つらい出来事の多い一年でもありました。来年こそは、楽しく過ごせる一年になることを祈ります。

ひとり暮らしのお母様が住んでおられた2Kの賃貸アパートの開け渡しの日が迫っているので、急いで片付けをして欲しいというご依頼をいただきました。ご依頼主様は離れて暮らす息子様で、思い詰めたようなお声で「仕事の休みが取れないうえ、自分ではどうしたらいいかわからない。部屋の中のものはすべて処分してください」とお電話をくださいました。

アパートの前の道は車が行き違えるほどの幅があり、短時間ならパッカー車を駐車できるとのことでしたので、“短期集中作戦”で作業スタッフ5名、目標時間1時間で作業にとりかかりました。
大変だったのはエレベータがないため、2階の部屋から狭くて急な階段を使って何度も往復しなければならなかったことです。ただ大型の家具がなかったので、ほとんどの荷物をひとりで運ぶことができ、比較的スムースに搬出できました。
お母様が退去されたあとは、すぐに業者さんのリフォームが入るとお聞きしていましたので、お風呂とトイレを掃除して作業完了となりました。
荷物を運び出した部屋の壁を見ると、2019年のカレンダーが架かっていて、まるで時が止まったかのようでした。息子様にお聞きすると、お母様は2019年の12月に外階段で転んで、倒れていたところを発見され、救急車で運ばれたそうです。そのまま入院となり、自宅に帰ることは叶わず介護施設で亡くなったそうです。
「あれからそんなに時間が過ぎたのですね。でも、おかげさまで少しは気持ちの整理ができました。ありがとうございました」とお言葉をいただきました。
遺品整理は人生の終わりに寄り添うお仕事ですが、その後はきれいにリフォームされて新しい方の生活が始まります。そのお手伝いも私たちの仕事なのだなと改めて感じました。

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