3年前に他界した母の洋服
マスク制限のない新年度が始まりました。まだまだ予断は許せませんが、私たちも気分を一新して前進していきたいものですね。
3年前にお母様を亡くされた女性から遺品整理のご相談をいただきました。亡くなられたお母様は洋裁もお上手で、お洋服を買うのもお好きだったので、ウォークインクローゼットにびっしりのお洋服をお持ちでした。ご実家でお母様の遺品整理をした時、お洋服はすべてお母様の妹である叔母様が預かってくれたそうです。叔母様の家は広く、使っていない部屋もありましたが、叔母様が施設に入られるのを機に生前整理することになり、大量のお洋服をご依頼主様が持ち帰らざるを得なくなってしまったというご事情でした。
お母様は「私が死んでも、洋服は絶対捨てないように」と言っておられたようで、自宅に持ち帰ったものの家中大量のお洋服で埋め尽くされ、途方に暮れていたというのです。生前のお母様の願いに逆らうこともできず、整理することができなかったようです。
ご依頼主様は現在30代前半で、お母様が残したお洋服は大人っぽいものばかりで、着たいと思うようなものがありません。ご依頼者様が40代50代になれば、着られるものもあるかもしれませんが、とてもそれまで待っていられません。ですので、ブランド物のお洋服はリサイクル業者に買取りを依頼するようアドバイスさせていただき、あとは「これは好きでよく着ていたな」というものだけを残して、思い切って処分することをご提案させていただきました。
それでもお心残りがおありのご様子でしたので、「洋服は絶対捨てないで、とのことでしたが、娘様の悩んでいるお顔を見たいとは思っておられないのでは?」とお声がけさせていただきました。
少し安心されたのか「では、残すものと処分するものを考えておきますので、作業当日にその仕分けからお願いしていいですか」と言っていただけました。当日はお打ち合せの時よりすっきりした表情で、てきぱきと指示を出してくださり、スムーズに片付けができました。
私たちが取り扱わせていただく遺品には、どれも故人様の大切な思いが詰まっています。私たちはご家族様のお気持ちを大切にしながら、プロとして最善のご提案をさせていただきます。