二人分の遺品
その日の仕事は、突然死されたお父さんと、その娘さんの「二人分の遺品整理」でした。
お父さんは、男手一つで大切に育ててきた娘さんを、数年前に事故で亡くしていたそうです。
愛する娘さんへの想いが強かったのでしょう。最期まで娘さんの部屋を片付けることができずにいたようです。
窓にはパステルカラーのカーテンが掛けられていました。
本棚には、教科書や参考書の他にたくさんの文庫本と音楽CDが整然と並んでました。
娘さんは高校生だったようです。
部屋はその年齢の女の子らしく、ぬいぐるみやキャラクターものがいくつも置かれていました。
ハンガーにきっちりとかけられた制服。お部屋の様子から、お父様が几帳面な方だったことがうかがえます。
娘さんの部屋以外は、飾り気がなく、大変簡素でした。
よく手入れされた仏壇には花が飾られ、写真の中で娘さんはとてもかわいらしい顔で、楽しそうに笑っていました。
お父さんは毎日、この笑顔を見て、時間が止まった部屋を掃除して、娘さんと共に過ごした時を振り返っていたのでしょうか。
娘さんの思い出とともに生きたその時間は、悲しいものだったのでしょうか、それとも・・・お父さんの想いは誰にもわかりません。
お二人のご冥福をお祈りします。
弊社では、お仏壇のご供養・処分を承っております。