探し物はなんですか?(西成区 天下茶屋)
カレンダーの祝祭日以外に、今日は○○の日、などと世間ではいろいろな記念日があるようです。
10月4日はNTTの番号案内(電話番号調べ)「104」にちなんで「探し物の日」。
どうしても見つからないものをもう一度探してみる日だそうです。
その日の大きな仕事は「探し物」です。
天下茶屋での遺品整理のお仕事でした。
体調不良で入院したおばあちゃんの様態が予想以上に悪く、そのまま退院することなくお亡くなりになったとのこと。
あまりにも急だったので家の権利証や預金通帳等、大切なものがどこにしまってあるのかわからないので遺品整理の時に探して欲しいという依頼です。
きちんと整理整頓された部屋からは、おばあちゃんの几帳面な性格がうかがい知れます。家族の方も「おばあちゃんのことだから、きちんと貴重品は分けてどこかにしまっているはず」と心当たりを調べてみたのですが、結局見つけることはできなかったようです。
ふと目に留まった古い長持。お伺いするとおばあちゃんの着物が入っているとのことです。
きれいに拭きあげられた長持を開けると、古いたとう紙に包まれた泥染めの大島紬、訪問着…大正ロマンを思わせる鮮やかなコートが目に入ってきました。ちゃんと、ショウノウも入っていましたから、夏には開けて入れ替えをされていたのでしょう。
ここには「探し物」はないようです。長持ちの蓋を閉めようとしたとき、蓋の裏側に大きめの茶封筒がガムテープで貼りつけてある事に気がつきました。もしかしたら…ガムテープを剥がし茶封筒を開けると、そこには3通の封筒がありました。
一つはご家族が探していたものでした。
もう一つは長持の中の着物の形見分けについて書かれていました。
そして、最後の一通は、家族への別れの手紙でした。
おばあちゃんは自分の様態が悪く、もうこの家に戻れないことがわかっていたのでしょうか。
おばあちゃんの心の中では、遺品整理は終わっていたのかもしれません。
入院の日、家族に心配をかけまいと、終始笑顔で病院にむかっていたそうです。
几帳面なおばあちゃんがどうして通帳や権利書を長持の蓋の裏に貼り付けたのかは、誰にもわかりません。
ただ、残された家族、兄弟がこの先も仲良くしていくためには大切なことだったように思えます。
遺品、そこには人の想いが詰まっています。どうしても見つけたいものもきっとあるでしょう。遺品整理の際の「探し物」も弊社にお任せください。